企業活動の要点とまちがえやすい点(ITパスポート試験 論点テキスト)
ITパスポート試験のストラテジ系(企業と法務)のうち、「企業活動」にあたる22論点を、要点167本・まちがえやすい点73本・式9本にまとめました。
最終更新:2026年10月6日
このページの論点
- 経営・組織論
- 業務分析・データ利活用
- 会計・財務
経営・組織論
経営理念・パーパスと経営資源
企業の存在意義や価値観を示す経営理念・パーパス、ミッションから戦術への階層、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を扱う。
要点
- 経営理念は、企業の存在意義や価値観を表す根本的な考え方であり、経営戦略や事業計画の拠り所となる。
- 企業の存在意義であるミッションと目指す姿であるビジョンを上位に置き、その下に戦略、さらに具体的な実行手段である戦術が段階的に具体化される。
- 経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報の4要素で捉えられ、近年は情報の重要性が特に高まっている。
- パーパス経営は、企業の社会的な存在意義を明確にして経営の中心に据え、株主だけでなく多様なステークホルダーへの価値提供を重視する。
- 人的資本経営は、従業員の知識・スキル・経験等を資本として捉え、人材への投資を通じて中長期的な企業価値の向上を図る経営の考え方である。
- コーポレートブランドは、企業そのものに対して、顧客や社会が抱く信頼・イメージなどの価値のこと。
まちがえやすい点
- 経営理念は企業の存在意義や価値観を示す考え方であり、損益実績や配当方針、価格設定ルールのような具体的な経営活動の結果や個別方針とは異なる。
- パーパス経営は社会的な存在意義を軸にする考え方であり、短期的な株主利益の最大化を目的とする考え方とは方向性が異なる。
- 人的資本経営は人材への投資を重んじる考え方であり、人件費を削減対象と捉える考え方ではない。
CSR・CSV・ESG投資・SDGs
社会的責任や共通価値の創造、ESG投資、SDGs、健康経営など、企業が社会に配慮して事業を行う考え方を扱う。
要点
- CSRは、企業が利益追求だけでなく、環境保全や地域貢献、コンプライアンス遵守など社会的責任を果たす取組みである。
- CSVは、社会的課題の解決を事業機会と捉え、社会的価値と経済的価値を同時に創出しようとする経営概念である。
- ESG投資は、環境・社会・企業統治という非財務の要素を評価軸に加え、財務指標だけで判断せずに投資先を選ぶ投資手法である。
- SDGsは、国際連合が2015年に採択した、2030年までに達成すべき貧困・環境・平等など17の目標からなる国際的な開発目標である。
- 健康経営は、経済産業省が推進する、従業員の健康保持・増進を投資と捉えて経営的視点で戦略的に取り組む考え方である。
- 社会的責任投資は、投資先を選ぶ際に、財務面だけでなく、環境・社会・倫理面への配慮も評価する投資手法。
まちがえやすい点
- CSVは社会的課題の解決と経済的利益の両立を目指す経営概念であり、同じ略語であるCSVファイル形式ではない。
- CSRは法令を守ったうえで社会に責任を果たす取組みであり、費用削減のために法令で定められた測定を減らす行為とは別である。
- 健康経営は従業員の健康増進を投資と捉える取り組みであり、受診の制限や解雇は理念とは異なる。
グリーンIT・GX・カーボンニュートラル
IT機器の省電力化や3R、脱炭素への転換、循環経済など、環境負荷の低減に関する考え方と用語を扱う。
要点
- グリーンITは、ITの省エネ化とITによる社会の省エネ化の両面で環境配慮を進める取り組みである。
- 3Rは、リデュース(発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)からなり、優先順位はリデュース、リユース、リサイクルの順である。
- GXは、化石燃料中心の産業・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換し、脱炭素と経済成長を両立させる変革である。
- カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と吸収・除去量を差し引きゼロにして実質的な排出量をゼロにすることで、日本は2050年の達成を目標に掲げる。
- サーキュラーエコノミーは、資源を繰り返し循環利用して廃棄物と新規資源の投入を抑える経済モデルである。
- カーボンフットプリントは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルまでに排出される温室効果ガスを、CO2の量に換算して示したもの。
まちがえやすい点
- グリーンITは消費電力を抑える考え方であり、消費電力を考慮せず常に最大性能で動かす設定は、消費電力が増えるためグリーンITの考え方とは別である。
- サーキュラーエコノミーは循環利用を前提とする経済モデルであり、大量廃棄型や買い替え促進型のリニア経済とは異なる。
- GXは化石燃料中心の構造を転換する変革であり、書類の電子化やブランドの色統一、スマート農業とは異なる概念である。
PDCA・OODA・BCPの管理手法
業務改善を繰り返すPDCAサイクルとOODAループ、緊急時に事業を続けるための計画であるBCPの内容を扱う。
要点
- PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の4段階を繰り返し、業務やプロセスを継続的に改善する手法である。
- OODAループは、観察・情勢判断・意思決定・行動の4段階を高速に回し、変化の激しい状況に迅速に対応する意思決定モデルである。
- BCPは、緊急事態でも重要な事業を中断させない、または早期に復旧させるための方針・体制・手順等をあらかじめ定めた計画である。
まちがえやすい点
- OODAループは変化への迅速な対応を重視する意思決定モデルであり、計画を重視するPDCAサイクルとは異なる。
- BCPは緊急事態に備えてあらかじめ策定しておく計画であり、障害が起きてから初めて策定すればよいものではない。
人材育成と人事評価の手法
OJTやeラーニング、リスキリングなどの育成手法と、MBO・360度評価・タレントマネジメントなどの人事手法を扱う。
要点
- OJTは、実際の業務の中で上司や先輩の指導を受けながら実践的にスキルを身につける育成手法である。
- MBOは、従業員が上司と合意した目標を設定し、その達成度に基づいて評価する仕組みである。
- eラーニングは、インターネットやコンピュータを活用して学習コンテンツを配信し、学習者が時間や場所の制約を受けにくい形で学習できる学習形態である。
- タレントマネジメントは、従業員の能力・経験・適性等の情報を一元的に把握し、採用から育成・登用までを戦略的に結び付ける人材マネジメント手法である。
- 360度評価は、上司だけでなく同僚・部下など複数の立場から評価を集め、対象者を多面的に評価する手法である。
- リスキリングは、事業環境やデジタル化の変化に対応するため、従業員が新しい職務に必要な知識・スキルを学び直すことである。
- コーチングは、対話や質問を通じて相手の気づきを促し、自発的な目標達成や行動を引き出す人材育成の手法。
- e-ラーニングは、インターネットなどのネットワークを利用して、場所や時間を選ばずに学習できる教育・研修の形態。
- アダプティブラーニングは、学習者の理解度や進度に応じて、教材や問題の内容を個別に最適化して提供する学習方式。
- CDPは、従業員のキャリア目標に沿って、配置・異動や研修を長期的・計画的に行う人材育成の仕組み。
- HRテックは、人事・採用・評価などの業務に、AIやクラウドなどのITを活用して効率化・高度化する取組み。
- HRMは、従業員を人的資源として捉え、採用・配置・育成・評価などを計画的に行い、能力を生かす管理手法。
まちがえやすい点
- OJTは業務の中での指導であり、業務を離れて行う研修はOff-JT、自己学習は自己啓発であって、いずれもOJTとは異なる。
- 360度評価は複数の立場から多面的に評価する手法であり、これに対し数値目標の達成度に基づく評価はMBO等の目標管理に近い考え方である。
- リスキリングは新しい職務に必要なスキルの学び直しであり、退職者の再雇用、成果主義、副業・複業とは異なる概念である。
働き方・メンタルヘルスと従業員の意欲
ワークライフバランスやエンゲージメント、ストレスチェック、テレワーク、ギグエコノミーなど働き方に関する用語を扱う。
要点
- 従業員エンゲージメントは、従業員が組織の目標や価値観に共感し、自発的に貢献しようとする意欲や愛着の度合いを表す概念である。
- ワークライフバランスは、仕事と私生活の双方を充実させ、両立できる働き方や社会の実現を目指す考え方である。
- ストレスチェック制度は、労働者のストレス状況を把握する検査を行い、高ストレスと判定された本人の申出により医師の面接指導につなげる仕組みである。
- ギグエコノミーは、インターネット上のプラットフォームを介して、単発・短期の仕事を受発注する働き方や経済活動の形態である。
- テレワークは、ICTを活用して時間や場所にとらわれずに働く形態の総称で、勤務場所に応じて在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務等に分類される。
- 在宅勤務であっても労働者であることに変わりはなく、就業規則や労働関係法令は適用される。
- リテンションは、優秀な人材の離職を防ぎ、組織に定着させるための取組み。
- ワークエンゲージメントは、仕事に対して熱意を持って没頭し、活力を感じながら働いている、前向きで充実した心理状態。
- DE&Iは、多様性を認め、公平な機会を確保し、誰もが受け入れられて能力を発揮できる環境をつくる考え方。
まちがえやすい点
- ストレスチェック制度の結果は本人の同意なく上司等に開示できず、結果を人事評価に反映させる義務があるとする説明は誤りである。
- ワークライフバランスは仕事と私生活の両立を目指す考え方であり、単なる労働時間の短縮や私生活の犠牲を意味するものとは異なる。
- テレワークは時間や場所にとらわれない働き方の総称であり、自宅での勤務に限定されるものではない。
事業部制・職能別・マトリックスの組織形態
事業部制、職能別組織、マトリックス組織、持株会社の特徴と、それぞれが何を単位に編成されるかを扱う。
要点
- 事業部制組織は、製品別・地域別・顧客別などに事業単位を編成し、各事業部に利益責任と大幅な権限を委譲する組織形態である。
- マトリックス組織は、職能別と事業別など2つの指揮命令系統が交差し、一人の担当者が複数の上司を持つことがある組織である。
- 職能別組織は、開発・製造・販売・経理など業務の専門機能ごとに部門を編成した組織で、専門性を高めやすい半面、部門間調整や利益責任の所在が課題となる。
- 持株会社は、他の会社の株式を保有することを主たる事業とし、傘下の複数の事業会社を統括・管理する会社形態である。
- カンパニー制は、社内の事業部門を擬似的な独立会社として扱い、大幅な権限と損益の責任を持たせる組織形態。
まちがえやすい点
- 事業部制は事業単位に分権化して利益責任を負う形態であり、職能ごとに編成する職能別組織や、一時的に編成するプロジェクト組織とは異なる。
- 職能別組織は営業・製造・経理など仕事の種類ごとに部門を分ける形態であり、1人が全職能を兼務する形態ではない。
- 持株会社は事業会社の株式を保有して統括する会社形態であり、上場目的の会社の別名や従業員持株会そのものとは異なる。
CIO・CDO・CFOなど経営幹部の役職
最高情報責任者、最高デジタル責任者、最高財務責任者といった経営幹部の役職ごとの責任分野を扱う。
要点
- CIOは、経営戦略と情報システム戦略を結び付け、全社的な情報化の企画・推進や情報システム投資の意思決定を統括する経営幹部である。
- CDOは、企業全体のデジタル戦略やDX推進を統括する経営幹部であり、既存の情報システム基盤の管理・運用を担うCIOとは役割の重心が異なる場合がある。
- CFO(Chief Financial Officer)は、財務戦略・資金調達・経理を統括する最高財務責任者である。
まちがえやすい点
- 経営幹部の役職では、情報はCIO、技術はCTO、人事はCHROが担い、財務・経理を統括するCFOとは責任分野が異なる。
- CIOは経営と情報システムを結び付ける役職であり、会計監査を行う専門家や産業医、株主総会の事務局長とは役割が異なる。
IT利活用の動向と社会の格差・構想
Society 5.0やデジタル田園都市国家構想、ディジタルデバイドなど、社会でのIT利活用の動向を扱う。
要点
- ディジタルデバイドは、地域・世代・所得などによるITの利用機会や活用能力の差から生じる、待遇や機会などの格差を指す社会的課題である。
- Society 5.0は、狩猟・農耕・工業・情報社会に続く新たな社会像で、サイバー空間と現実空間を高度に融合させる人間中心の社会である。
- デジタル田園都市国家構想は、デジタル技術で地方の社会課題を解決し、地方の活性化と都市・地方間の格差是正を図る政府の取り組みである。
- 第4次産業革命は、蒸気機関・電力・コンピュータに続き、IoT・ビッグデータ・AIなどの技術革新で産業や社会が大きく変わる動き。
- 超スマート社会は、必要なものやサービスを、必要な人に、必要なときに、必要なだけ提供し、様々なニーズにきめ細かく対応できる社会。
- 国家戦略特別区域法は、区域を限定して規制改革を進める法律で、先端技術を活用した都市「スーパーシティ」の実現などを可能にする。
- デジタル社会形成基本法は、デジタル社会の形成に関する基本理念や、国・地方公共団体・事業者の責務、施策の基本方針を定めた法律。
まちがえやすい点
- Society 5.0はIoT・AI・ビッグデータで課題解決を目指す社会像であり、通信規格である5Gとは異なる概念である。
- デジタル田園都市国家構想は地方の課題解決を図る構想であり、都市集中の推進や地方のネット利用禁止とは方向性が異なる。
業務分析・データ利活用
パレート図とABC分析
項目を大きい順に並べて累積比率で重点を絞るパレート図とABC分析の使い方と読み取り方を扱う。
要点
- ABC分析は、重要度(通常は金額)の高い順に累積して分類し、上位のAグループを重点的に管理する、パレートの法則の応用である。
- パレート図は、項目を大きい順に並べた棒グラフに累積比率の折れ線を重ね、重点的に管理すべき項目を絞り込む図である。
- パレート図では、件数の多い上位の原因から対策することで、少ない手数で全体の件数を大きく減らせると判断できる。
- ABC分析は、売上の大部分を占める少数の商品を見つけて重点的に管理するための手法である。
- 累積構成比は、ある商品までの累積構成比を100%から引くだけで、残りの商品群が占める割合を求められる。
まちがえやすい点
- ABC分析は金額の大きい順に分類して重点管理する手法であり、市場成長率と占有率で分類するPPM、動作研究、移動平均法とは異なる。
- パレート図は件数の多い順に並べて累積比率を示す図であり、要因を魚の骨で整理する特性要因図、相関を見る散布図、度数の柱を示すヒストグラムではない。
- パレート図の折れ線は累積比率を表すものであり、時間の推移や将来の増減を表すものではない。
特性要因図・親和図とQC七つ道具
特性要因図、親和図法などの整理手法と、QC七つ道具に含まれる図の役割の違いを扱う。
要点
- 特性要因図(フィッシュボーン図)は、特性(結果)に影響する要因を大骨・小骨で体系化して整理する図である。
- 特性要因図で人・材料・機械・方法のような大きな枝に分けるのは、要因を分類して洗い出し、考えの偏りや見落としを減らすためである。
- 親和図法は、雑多な言語データを似たもの同士でまとめ、全体像を把握する新QC七つ道具の手法である。
- QC七つ道具は、パレート図・特性要因図・チェックシート・ヒストグラム・散布図・管理図・層別(またはグラフ)を指す数値データの分析手法である。
- マトリックス図は、二つの要素の群を行と列に配置し、交点に関連の有無や強さを記入して、問題の所在を明確にする図。
- ロジックツリーは、課題や目的を、原因や手段などに論理的に分解し、木の枝のように階層的に展開して整理する図。
- コンセプトマップは、概念や用語を図形で囲み、概念どうしの関係を線と言葉で結んで、知識や考えの構造を表した図。
- ブレーンライティングは、参加者が考えを用紙に書き、順に回して他者の案をヒントに発想を広げる手法。
まちがえやすい点
- 親和図法は言語データのグループ化に用い、連関図は因果の絡み、系統図は手段の展開、アローダイアグラムは日程計画に用いる点で異なる。
- ガントチャートは作業の日程と進捗を管理する道具であり、品質のばらつきや原因を分析するQC七つ道具には含まれない。
- 特性要因図が要因の整理に使われるのに対し、散布図は相関、管理図は工程の安定性、ヒストグラムは分布を見る道具である。
相関・因果と回帰分析・散布図
散布図から読み取れる相関と因果関係の違い、回帰分析による予測の考え方を扱う。
要点
- 散布図は、二つの対応するデータを縦軸と横軸にとって点を打ち、点の散らばりから相関の有無・強さを読み取る図である。
- 回帰分析は、ある変数(目的変数)を他の変数(説明変数)で説明・予測する関係式を求める分析手法である。
- 相関関係は二つのデータが一緒に増減する傾向があることを指し、因果関係は一方が他方の原因になっている関係を指す。
- 散布図で点が右上がりに並べば正の相関、右下がりなら負の相関、散らばった配置なら相関なしと読み取れる。
- 相関係数は-1から1の範囲をとるため、0以上1以下とする記述は誤りである。
- 最小二乗法は、回帰直線を求める際に、実測値と直線上の値との差を二乗して合計した値が最小になるよう、係数を決める方法。
- 相関と因果は、二つのデータが連動する関係(相関)と、一方が原因で他方が結果となる関係(因果)の区別。相関があっても因果があるとは限らない。
- クロス集計表は、二つ以上の項目を縦と横に配置し、項目の組合せごとの件数や割合をまとめた集計表。
- 相関係数行列は、複数の変数のすべての組合せについて、相関係数を求め、行と列に並べて一覧にした表。
- 散布図行列は、多数の変数について、組合せごとの散布図を格子状に並べ、関係を一覧できるようにした図。
- 仮説検定は、標本のデータから母集団についての仮説が正しいかを、確率に基づいて判断する統計的手法。
- 有意水準は、仮説検定で、結果が偶然とは考えにくいと判断する境目として、あらかじめ定める確率の基準。
- 第1種の誤りは、本当は差や効果が無いのに、検定で差や効果があると誤って判断してしまう誤り。
- 第2種の誤りは、本当は差や効果があるのに、検定で差や効果が無いと判断して見逃してしまう誤り。
まちがえやすい点
- 二つのデータに強い相関があっても、必ずしも一方が他方の原因であるとは限らず、第3の要因が動かしている可能性を排除できない。
- 散布図が示すのは二つの値が一緒に動く傾向であり、点の数を増やしても相関が因果に変わることはない。
- 見かけの相関には、第三の要因が両方に影響しているだけの擬似相関があり、相関があるからといって因果があるとは限らない。
- 比例関係は一定の比で増減する数学的な関係を指す語であり、一方が他方の原因になっている因果関係とは別である。
ヒストグラム・レーダーチャートなどグラフの読み取り
ヒストグラム、レーダーチャート、折れ線グラフから度数・中央値・差・増加率などを読み取る方法を扱う。
要点
- ヒストグラムで条件に合う人の割合を求めるときは、該当する階級の度数を足してから全体の人数で割る。
- 中央値は、データを小さいほうから並べたときの真ん中の値であり、度数を下から足していくと、それが含まれる階級が分かる。
- レーダーチャートは、複数の項目を同じ図の上で比べられるため、強みと弱みを一目でつかむのに向く。
- 評価の差が大きい項目は、強みとして訴えるか弱みとして手を打つかの判断が最も分かれる項目である。
- 増加率は、増えた分を元の値で割って求めるため、増加額が元の値と等しければ100%の増加となる。
- 折れ線グラフでは、二本の折れ線が交わる位置を読み取ることで、どの時点で一方の値が他方を上回るかが分かる。
- 折れ線グラフは、時間の経過に伴うデータの変化や推移を、各時点の値を点で示して線で結んだグラフ。
- 箱ひげ図は、最小値・四分位数・中央値・最大値を箱と線で表し、データの散らばりを比較しやすくした図。
- ヒートマップは、データの値の大小を色の濃淡や色の違いで表し、傾向や偏りを一目で把握できるようにした図。
- モザイク図は、二つの分類項目の組合せごとの件数や割合を長方形の面積で表し、項目間の関連を見る図。
- 複合グラフは、棒グラフと折れ線グラフなど、種類の異なるグラフを一つに重ねて表したグラフ。
- 2軸グラフは、単位や大きさの異なる二つのデータを、左右に別々の目盛を設けて同じ図に重ねて表すグラフ。
- チャートジャンクは、グラフ中の、データの読み取りに役立たず、理解を妨げる不要な装飾や立体表現などの要素。
まちがえやすい点
- 増加率は増えた分を元の値で割って求めるものであり、後の値を前の値で割った比率とは意味が異なる。
- ヒストグラムで60点以上の割合を求めるとき、80点以上だけの人数を使うのではなく、60〜80の階級の度数も足す必要がある。
- 度数が最も多い階級と中央値の階級は、必ずしも一致するとは限らない。
ビッグデータ・データ活用の基盤と調査
ビッグデータの特徴、データウェアハウスやデータマイニング、オープンデータ、定量調査など、データ活用の用語を扱う。
要点
- データウェアハウスは、意思決定支援のために業務システムなどから集めた大量のデータを目的別・時系列に整理して蓄積したデータベースである。
- データマイニングは、統計や機械学習を用いて大量のデータから、これまで気づかなかった隠れたパターンや規則性を発見する技術である。
- オープンデータは、国や自治体、企業などが保有するデータを、誰もが二次利用しやすい形式・ルールで公開したものである。
- ビッグデータは、膨大な量(Volume)・多様な種類(Variety)・高速な生成や処理(Velocity)の3Vで特徴づけられる。
- データドリブン経営は、勘や経験だけに頼らず、客観的なデータの分析結果を根拠に意思決定を行う経営手法である。
- データサイエンティストは、統計や情報技術の知識を用いてデータから価値を引き出す役割を担う人材である。
- 定量調査は、数値で測って集計・比較できる形にする調査であり、選択式アンケートや購買履歴の集計がこれにあたる。
- フィールドワークは、調査対象の現場に出向き、観察や聞き取りを行って、実態を直接把握する調査手法。
- シェープファイルは、GISで広く使われる、地図上の点・線・面の位置や形状の情報と属性情報を格納するデータ形式。
- 共起キーワードは、文章の中で、ある語と同じ文や文章内に一緒に現れる語。語どうしの関連性を調べる手がかりになる。
- 調査データは、アンケートや聞き取りなどで対象者から回答を集めて得られるデータ。
- 実験データは、条件を人為的に変えて結果の違いを観測し、その影響を調べるために得られるデータ。
- 人の行動ログデータは、Webサイトの閲覧や購入、移動など、人の行動が自動的に記録されて蓄積されたデータ。
- 機械の稼働ログデータは、設備や機器が、稼働状況や温度などの動作の様子を自動的に記録して蓄積したデータ。
- GISデータは、地図上の位置情報と、その場所に関する属性情報を結び付けて扱うデータ。
- 量的データは、気温や売上額のように数値で表され、大小の比較や平均などの計算ができるデータ。
- 質的データは、性別や職業のように、数値の大小ではなく区分や分類によって表されるデータ。
- 1次データは、調査者が自分の目的のために、観測や調査によって直接収集したデータ。
- 2次データは、官公庁の統計など、他者がすでに収集・公開したデータを自分の分析に利用するもの。
- 時系列データは、同じ対象について、時間の経過に沿って継続的に記録して並べたデータ。
- クロスセクションデータは、ある一時点で、複数の対象について同じ項目を調べて並べたデータ。
- 統計的バイアスは、標本の選び方や測定方法の問題で、集めたデータが母集団の実態からずれてしまうこと。
- 認知バイアスは、思い込みや先入観など人の心理的な傾向によって、判断が合理的な考えからずれること。
まちがえやすい点
- オープンデータは誰もが二次利用しやすい形で公開されたデータであり、制約が強く二次利用が禁じられたデータではない。
- メタデータはデータそのものではなく、データを説明するための情報であり、量・種類・速度の面で扱いにくいビッグデータではない。
- デプスインタビューは数値化しにくい理由や背景を探る定性調査であり、数値で測って集計する定量調査とは別である。
- データマイニングはデータから有用な情報を発見する技術であり、暗号化・圧縮・分散保存のような保護・保管の技術とは異なる。
意思決定の手法と在庫・需要予測
EOQや定量発注方式による在庫管理、線形計画法、期待値、ゲーム理論、移動平均法などの意思決定手法を扱う。
要点
- EOQ(経済的発注量)は、発注費用と在庫維持費用の総和を最小化する、1回あたりの発注量である。
- 定量発注方式は発注点方式とも呼ばれ、在庫が発注点を下回ると定量を発注する方式である。
- 線形計画法は、制約条件と目的関数がともに一次式のときに、目的関数を最大化または最小化する解を求める最適化手法である。
- 期待値は、各案の結果に発生確率を掛けて合計した値であり、複数案の平均的な有利さを比較するために用いる。
- ゲーム理論は、相手の選択を織り込んで最適戦略を分析する枠組みで、複数の意思決定主体が互いの行動を読み合う状況を扱う。
- 移動平均法は、直近数期の平均で短期予測を行う需要予測手法であり、期間をずらして更新していく。
- クリティカルパス分析は、作業の順序関係から、遅れると全体の完了が遅れる最も長い経路を求め、重点的に管理する分析手法。
- 与信管理は、取引先の支払い能力を調べて取引の限度額などを定め、代金を回収できないリスクを抑えること。
まちがえやすい点
- 定量発注方式は在庫が発注点を下回ると定量を発注する方式であり、発注間隔が一定で発注量が変動する定期発注方式とは異なる。
- 期待値は結果と確率の総和であり、ばらつきを示す標準偏差や2変量の関連を示す相関係数とは目的が異なる。
- 移動平均法は平均による予測であり、関係式を使う回帰分析、専門家の意見を集約するデルファイ法、乱数を用いるモンテカルロ法とは別である。
- EOQは発注費用と在庫維持費用の合計を最小にする量であり、納品までに消費される見込み量であるリードタイム需要とは異なる概念である。
会計・財務
損益計算書と利益の段階
損益計算書で売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益が段階的に求められる流れと計算を扱う。
要点
- 売上総利益(粗利益)は、売上高から売上原価を差し引いた額である。
- 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引くと営業利益となる。
- 営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて求め、本業でどれだけ稼いだかを表す。
- 経常利益は、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いて求める。
- 営業外の損益まで含めたものが経常利益であり、特別損益と税金まで調整した最後の利益が当期純利益である。
まちがえやすい点
- 経常利益は営業利益に営業外損益を加減して求めるものであり、営業利益に特別損失を加える計算ではない。
- 販売費及び一般管理費を引くのは営業利益、営業外損益を加減するのは経常利益、法人税等を引くのは当期純利益で、計算の段階が異なる。
- 営業利益は売上総利益を求めたうえで販売費及び一般管理費を引く利益であり、売上原価を引き忘れた値や経常利益とは異なる。
式
- 売上総利益売上高−売上原価
- 営業利益売上総利益−販売費及び一般管理費
- 経常利益営業利益+営業外収益−営業外費用
損益分岐点と固定費・変動費
固定費と変動費の区分、限界利益、損益分岐点売上高と損益分岐点比率の意味と計算を扱う。
要点
- 損益分岐点は、売上高と固定費・変動費を合計した総費用が等しくなる売上高であり、それを上回れば利益、下回れば損失となる。
- 変動費は原材料費のように売上高や生産量の増減に応じて変動する費用、固定費は地代家賃のように売上高に関わらず一定額発生する費用である。
- 限界利益は、売上高から変動費を差し引いた金額であり、固定費を回収したうえで利益の源泉となる。
- 損益分岐点比率は損益分岐点売上高を実際の売上高で割って100を掛けて求め、数値が低いほど売上高が減少しても赤字になりにくい収益構造を示す。
- 限界利益率は1から変動費率を引いた値であり、損益分岐点売上高は固定費を限界利益率で割って求める。
- 損益分岐点売上高は固定費を1から変動費率を引いた値で割って求めるため、固定費を下げても変動費率を下げても値は小さくなる。
まちがえやすい点
- 損益分岐点売上高の式に実際の売上高は入っていないため、売上を伸ばしても損益分岐点売上高そのものは動かない。
- 限界利益は売上高から変動費を引いた金額であり、固定費まで差し引く営業利益に近い概念ではない。
- 損益分岐点比率は損益分岐点売上高が実際の売上高に占める割合であり、分子と分母を逆にした説明や固定費と変動費の比率とは別である。
- 売上原価は変動費と固定費の両方を含みうる区分であり、変動費と固定費の対比には当てはまらない。
式
- 損益分岐点売上高固定費÷(1−変動費率)固定費が600万円、変動費率が40%なら600÷0.6=1,000万円
- 損益分岐点比率損益分岐点売上高÷実際の売上高×100
- 限界利益売上高−変動費
貸借対照表と純資産・内部留保
貸借対照表が示す資産・負債・純資産の関係と、自己資本や内部留保の位置づけを扱う。
要点
- 貸借対照表は、ある時点の財政状態を資産・負債・純資産の対照形式で示す財務諸表である。
- 貸借対照表は資産=負債+純資産という関係を表すため、左右の合計は必ず一致する。
- 自己資本(純資産)は、資本金や剰余金など返済義務のない資金であり、財務の安定性に寄与する。
- 内部留保は、税引後利益のうち配当等で社外に流出させずに企業内に留保した部分であり、利益剰余金として貸借対照表の純資産の部に計上される。
- 負債合計は流動負債と固定負債の合計であり、返済義務のない純資産は負債に含めない。
まちがえやすい点
- 貸借対照表はある時点の財政状態を示し、一定期間の収益と費用を対比する損益計算書や現金の増減を示すキャッシュフロー計算書とは別である。
- 借入金・社債・買掛金は返済や支払いが必要な他人資本(負債)であり、返済不要の自己資本とは異なる。
- 内部留保は利益を企業内に蓄積した部分であり、現金・預金残高と一致するとは限らない。
- 費用は一定期間の成果を表す損益計算書の項目であり、ある時点の財産状態を表す貸借対照表には載らない。
キャッシュフロー・減価償却・複式簿記
キャッシュフロー計算書の3区分、黒字倒産、減価償却の計算、複式簿記の記録方法を扱う。
要点
- キャッシュフロー計算書は、現金の増減要因を営業活動・投資活動・財務活動の3区分に分けて表示する財務諸表である。
- 黒字倒産は、損益計算書上の利益計上のタイミングと実際の現金の入出金のタイミングがずれるために起こり、キャッシュフロー経営が重視される理由となる。
- 減価償却は、固定資産の取得原価を使用可能期間にわたって各年度の費用として配分する会計処理で、定額法や定率法がある。
- 定額法の年間償却費は、取得原価から残存価額を引いて耐用年数で割って求め、毎年同額を計上する。
- 複式簿記は、各取引を借方と貸方の二つの側面から両建てで記録する記帳方法で、貸借対照表と損益計算書を体系的に作成できる。
まちがえやすい点
- 複式簿記は借方と貸方の両建てで記録する方式であり、現金の出入りだけを記す単式簿記とは異なる。
- 定額法は毎年同額を償却するのに対し、初期ほど償却額が大きくなる定率法とは計算方法が異なる。
- 減価償却は現金支出を伴わない非資金費用であり、費用として計上しても現金が出ていくわけではない。
- 黒字倒産は利益が出ていても手元資金が尽きる状態であり、売上が費用を下回る赤字の状態とは異なる。
式
- 定額法の年間減価償却費(取得原価−残存価額)÷耐用年数毎年同額を計上する
収益性の財務指標(ROE・ROA・営業利益率)
ROE、ROA、売上高営業利益率、財務レバレッジなど、利益と資本・売上の関係を示す指標を扱う。
要点
- ROEは自己資本利益率であり、自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合を示し、株主の投資に対する収益性を表す指標である。
- ROAは総資産利益率であり、当期純利益等を総資産(総資本)で除して求め、資産全体をどれだけ効率的に利益へ結び付けたかを測る。
- 売上高営業利益率は、営業利益を売上高で除した指標で、本業の収益性を測る代表的な指標である。
- 財務レバレッジは、総資本を自己資本で除して求め、負債を活用する度合いを表す指標で、ROEを高める要因の一つとなる。
- 投資利益率は、投資した金額に対して、どれだけの利益が得られたかを示す割合。
まちがえやすい点
- 自己資本に対する利益率がROEであり、総資産に対する利益率はROA、売上高に対する営業利益の割合は営業利益率で、それぞれ異なる指標である。
- 自己資本に対する利益率はROEの定義であり、ROAは総資産に対する利益率である点で異なる。
- 売上高営業利益率は営業利益を用いる指標であり、経常利益を用いる売上高経常利益率ではない。
- ROIは投資額に対する回収の割合を表し個別の投資案件の評価に使われるため、自己資本や総資産を分母とするROE・ROAとは対象が異なる。
安全性・効率性の財務指標
流動比率、当座比率、自己資本比率などの安全性と、棚卸資産回転率、労働生産性などの効率性の指標を扱う。
要点
- 流動比率は、流動資産を流動負債で除して算出し、短期的な債務の支払能力を示す指標である。
- 流動比率は、1年以内に現金化できる資産で短期の債務を返せるかを見る指標であり、100%を下回ると資金繰りに注意が要る。
- 当座比率は、換金性の高い当座資産を流動負債で除した指標で、棚卸資産を除くことで流動比率よりも厳密に短期支払能力を測る。
- 自己資本比率は総資本に占める自己資本の割合であり、負債への依存度が低いほど数値が高くなり、財務の安定性が高いと評価される。
- 棚卸資産回転率は、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標で、数値が高いほど在庫が滞留せず効率よく回転している。
- 労働生産性は、投入した労働量(従業員数や労働時間)に対して得られた成果を示す指標で、企業活動の効率性を測る代表的な尺度である。
- 流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合で、企業の短期的な支払い能力を見る指標。
まちがえやすい点
- 当座比率は棚卸資産を含めない指標であり、棚卸資産を含める説明は流動比率の定義であって、当座比率とは別である。
- 流動比率は流動資産と流動負債の比であり、固定長期適合率、自己資本比率、売上高経常利益率とは異なる指標である。
- 自己資本比率は純資産を総資産で割った値であり、負債の割合や、純資産を負債で割った値とは異なる。
- 労働生産性は成果を労働量で見る指標であり、残業時間の合計や賃金総額、労働災害発生率は生産性を直接示す指標ではない。
式
- 流動比率流動資産÷流動負債
- 自己資本比率純資産÷総資産
開示制度・連結決算・資本・税制
有価証券報告書や連結財務諸表、IPO、為替の影響、インボイス制度など企業の開示と財務環境を扱う。
要点
- 有価証券報告書は、金融商品取引法に基づき、上場企業等が事業年度ごとに事業内容・財務状況等を開示するために作成・提出する開示書類である。
- 連結財務諸表は、親会社と子会社等からなる企業集団を単一の組織体とみなして作成し、グループ全体の財政状態や経営成績を示す。
- IPOは、未上場企業が新たに株式を証券取引所に上場し、広く一般の投資家が売買できるようにすることである。
- 円安になると外貨建ての売上を円に換算した額が増え、輸出企業は有利になる。
- インボイス制度では、買手が消費税の仕入税額控除を受けるために、登録事業者が交付する適格請求書等の保存が原則必要になる。
- ディスクロージャーは、企業が株主・投資家などに対し、経営成績や財務状況などの情報を公開すること。
まちがえやすい点
- 連結財務諸表は企業集団全体を示すものであり、親会社単独の状況を示す個別財務諸表とは異なる。
- IPOは新規に株式を上場することであり、自社株を買い戻す自社株買い、他社株を買い集める買収、企業を分ける会社分割ではない。
- 円高は輸入企業に有利であり、円安は輸出企業に有利である一方、外貨建て債務の返済負担は円安でむしろ増える。
- インボイス制度は仕入税額控除の要件に関わる制度であり、所得税の非課税化や電子交付の義務化、税率引下げとは別である。
- 有価証券報告書は法令に基づく開示書類であり、招集通知の同封書類や任意の非公開資料、確定申告書とは異なる。
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