経営戦略マネジメントの要点とまちがえやすい点(ITパスポート試験 論点テキスト)
ITパスポート試験のストラテジ系(経営戦略)のうち、「経営戦略マネジメント」にあたる21論点を、要点115本・まちがえやすい点66本にまとめました。
最終更新:2026年10月6日
このページの論点
- 経営戦略手法
- マーケティング
- ビジネス戦略と目標・評価
- 経営管理システム
経営戦略手法
SWOT分析と内部・外部環境の整理
SWOT分析が強み・弱みの内部要因と機会・脅威の外部要因を整理する枠組みであることと、各要素の分類を扱う。
要点
- SWOT分析は、自社の強み・弱みという内部要因と、機会・脅威という外部要因を整理して分析するフレームワークである。
- SWOT分析では、強み・弱みは自社が持つ資源に関する内部環境の要因として整理される。
- SWOT分析の脅威は外部環境のマイナス要因であり、市場が拡大するといったプラスの外部要因は機会に分類される。
- SWOT分析では、独自の生産技術のように自社が持つプラスの内部要因は強みであり、営業拠点が少ないといったマイナスの内部要因は弱みである。
- SWOT分析は強み・弱み・機会・脅威を4象限に置く手法であり、市場成長率と市場シェアの2軸で事業を分類するPPMとは区別される。
まちがえやすい点
- 営業拠点が少ないことは外部の脅威ではなく、内部環境のマイナス要因である弱みである。外部環境の事象である新規参入の増加とは区別される。
- 政治・経済・社会・技術の4観点で分析するのはPEST分析であり、強み・弱みと機会・脅威を整理するSWOT分析とは異なる。
環境・業界・経営資源の分析手法
PEST分析・3C分析・ファイブフォース分析・VRIO分析・バリューチェーン分析がそれぞれ何を分析する手法かを扱う。
要点
- PEST分析は、政治・経済・社会・技術の4つの視点から、企業を取り巻くマクロ環境の変化要因を分析するフレームワークである。
- ファイブフォース分析は、既存競合・新規参入・代替品・買い手・売り手という5つの競争要因から、業界の収益性や競争の激しさを把握する手法である。
- VRIO分析は、経営資源を経済的価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの観点から評価し、競争優位の源泉となり得るかを判断する手法である。
- バリューチェーン分析は、事業活動を主活動と支援活動に分解し、どの活動で付加価値が生まれているかを明らかにする手法である。
- 3C分析は、市場や顧客を表すCustomer、競合を表すCompetitor、自社を表すCompanyの三つの観点から事業環境を分析する。
まちがえやすい点
- Channelは流通経路を指す語であり、3C分析の観点であるCustomer・Competitor・Companyには含まれない。
- VRIO分析は内部の経営資源に着目する手法であり、外部のマクロ環境を政治・経済・社会・技術で捉えるPEST分析とは分析の対象が異なる。
- ファイブフォース分析は業界の競争要因を対象とする手法であり、自社の経営資源を評価するVRIO分析ではない。
PPMによる事業の分類と資源配分
市場成長率と市場占有率の2軸で事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬に分け、経営資源の配分を検討する手法を扱う。
要点
- PPMは、事業や製品を市場成長率と市場占有率の2軸で花形・金のなる木・問題児・負け犬などに分類し、経営資源の配分方針を検討する手法である。
- 市場成長率も市場占有率も高い事業は花形であり、伸びる市場で首位を取っているぶん投資も必要になる。
- 金のなる木は市場成長率が低く市場占有率が高い区分であり、大きな追加投資を必要とせず、他の区分への投資の原資になる。
- 問題児は市場成長率が高く市場占有率が低い区分であり、投資して花形に育てるか、見切って撤退するかの判断が要る。
- 負け犬は市場成長率も市場占有率も低い区分であり、資源を投じ続けるより撤退や縮小を検討する対象になる。
まちがえやすい点
- 問題児は成長率が高く占有率が低い事業であり、占有率が高い花形や金のなる木とは位置づけが異なる。
- 金のなる木は成長率が低く占有率が高い区分で資金の出し手になり、成長率も占有率も高く投資を要する花形とは異なる。
ポーターの3つの基本戦略
コストリーダーシップ戦略・差別化戦略・集中戦略の内容と、それぞれが築こうとする優位の違いを扱う。
要点
- ポーターが提示した基本戦略は、コストリーダーシップ戦略・差別化戦略・集中戦略の3つであり、業界内で競争優位を築くための戦略である。
- コストリーダーシップ戦略は、規模の経済や生産効率の向上等により業界最低水準のコスト構造を実現し、価格面での競争優位を確立しようとする戦略である。
- 差別化戦略は、品質やブランド、サービス等の面で他社にはない独自の価値を打ち出し、価格競争によらない競争優位を目指す戦略である。
- 集中戦略は、特定のセグメントに経営資源を集中させ、その限定的な市場の中で差別化優位またはコスト優位を確立しようとする戦略である。
まちがえやすい点
- 独自価値の訴求はコストリーダーシップ戦略ではなく差別化戦略の内容であり、限定市場への集中は集中戦略の内容である。
- 集中戦略は特定セグメントを狙う点で、業界全体を対象とするコストリーダーシップ戦略・差別化戦略とは狙う市場の広さが異なる。
- 市場占有率に基づく事業分類はPPMの考え方であり、コストリーダーシップ・差別化・集中の3つの基本戦略とは異なる。
コアコンピタンスと競争地位別戦略
他社が模倣できない中核の強み、競合のいない市場を狙う戦略、業界内の地位に応じた戦略、他社との比較による改善を扱う。
要点
- コアコンピタンスとは、他社が容易には模倣できない、企業の競争優位の中核となる強み・技術・ノウハウを指す概念である。
- コアコンピタンス経営では、独自の中核能力に資源を集中し、中核でない業務はアウトソーシングするという組合せがよく取られる。
- ブルーオーシャン戦略は、競争の激しい既存市場であるレッドオーシャンを避け、競合のいない未開拓の市場空間を切り開いて新たな需要を創造しようとする戦略である。
- コトラーの競争地位別戦略は、業界内の地位に応じて企業をリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーに分類し、それぞれが採るべき戦略の方向性を示す。
- ベンチマーキングは、自社の業務プロセスや製品・サービスの水準を業界内外の優れた企業と比較・分析し、改善のヒントを得る経営手法である。
- ニッチ戦略は、大企業が手を出しにくい小さな市場に経営資源を集中し、その市場で独自の地位を築こうとする戦略。
- 同質化戦略は、競合他社の成功した商品やサービスを模倣し、相手の差別化による優位を打ち消そうとする戦略。
まちがえやすい点
- 業界内で最も低いコスト構造を実現しようとするのはコストリーダーシップ戦略であり、独自の中核能力への集中を図るコアコンピタンスの考え方ではない。
- ベンチマーキングは優れた他社と自社を比べて改善点を見つける手法であり、他社との提携を意味するアライアンスとは意味が異なる。
- 競争地位別戦略は全企業が同一の戦略を採るべきとする考え方ではなく、業界内の地位ごとに戦略の方向性が異なるとする。
成長戦略・事業ドメイン・多様性経営
アンゾフの成長マトリクス、多角化、シナジー効果、事業ドメインの定義、ダイバーシティ経営の考え方を扱う。
要点
- アンゾフの成長マトリクスは、製品と市場をそれぞれ既存・新規に分け、市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化という4つの成長戦略に整理するフレームワークである。
- 多角化戦略は、アンゾフの成長マトリクスにおける新製品と新市場の象限に位置づけられ、既存事業と異なる分野に進出してリスク分散や新たな成長機会を追求する。
- 多角化戦略は、既存事業との関連性の程度によって関連多角化と非関連多角化に分けられる。
- 事業ドメインは、企業が事業展開する範囲を顧客・機能・技術等で定義した概念であり、経営資源の配分方針や事業戦略の一貫性を保つ指針となる。
- シナジー効果は、複数の事業や企業が経営資源を組み合わせることで、単独で活動する場合の合計を上回る成果を生み出す効果であり、多角化やM&Aの狙いの一つである。
- ダイバーシティ経営は、多様な属性・価値観を持つ人材を積極的に活かし、変化への対応力やイノベーションの創出につなげる経営の考え方である。
まちがえやすい点
- 多角化戦略は既存事業と異なる新たな製品・市場へ進出する戦略であり、既存の市場で販売を伸ばす市場浸透の説明とは別である。
- 事業ドメインは事業展開の範囲の定義であり、ウェブサイトのドメイン名や議決権を有する株主の範囲を指す語ではない。
- ダイバーシティ経営は多様性の活用を目指す考え方であり、均一性を高める取組みはそれと逆の方向性である。
- シナジー効果は単独で活動する場合の合計を上回る成果を生む効果であり、成果が下回る現象を指す語ではない。
規模の経済・範囲の経済・経験曲線
コストが下がる効果である規模の経済・範囲の経済・経験曲線効果について、発生する要因の違いを扱う。
要点
- 規模の経済は、生産量が増えるほど製品1個あたりの平均コストが低下する効果であり、生産規模の拡大で固定費が分散して単価が下がる。
- 範囲の経済は、複数の事業や製品が設備・技術・ブランドなどの共通の経営資源を共有することで、個別に行うより費用を低減できる効果である。
- 経験曲線効果は、習熟や工程改善などにより製品の累積生産量とともに単位あたりのコストが下がる経験則である。
まちがえやすい点
- 生産量の増加による単価低下は規模の経済、累積生産量による低下は経験曲線であり、資源共有による費用低減の範囲の経済とは異なる概念である。
- 経験曲線は累積生産量に応じた単価の低下であり、設備の大型化による低下は規模の経済であり、経験曲線とは異なる。
M&A・アライアンス・TOB・合弁事業
企業の合併・買収、業務提携、株式公開買付け、共同出資による新会社設立といった企業間の連携形態の違いを扱う。
要点
- M&Aは、企業の合併や買収を通じて他社の技術・人材・販路などの経営資源を取り込み、事業拡大や新規事業への参入を図る経営手法である。
- アライアンス(業務提携)は、複数の企業がそれぞれの独立性を保ちながら、技術供与や共同開発、販売協力など特定の分野で協力関係を結ぶ取組みである。
- TOB(株式公開買付け)は、買付けの期間・価格・株数をあらかじめ公表したうえで、証券取引所を通さずに株式を買い集めるM&Aの手法である。
- ジョイントベンチャー(合弁事業)は、複数企業が共同出資して新会社を設立し、経営資源を持ち寄って事業を運営する提携形態であり、単独進出よりリスクを分散できる。
- アライアンスは資本提携から業務提携まで幅のある企業間連携であり、資本関係を持たない形も含む。
- MBOは経営陣が自社を買い取ることを指し、TOBは株式公開買付けというM&Aの一手段である。
- エコシステムは、多数の企業や顧客が生態系のように互いに依存し補完し合い、全体で価値を生み出す共存共栄の仕組み。
まちがえやすい点
- M&Aは合併と買収により相手企業そのものを取り込む手法であり、互いに独立したまま提携するアライアンスではない。
- アライアンスは完全な吸収合併ではなく独立性を保つ協力関係であり、単独での垂直統合や労使間の労働協約とも異なる概念である。
- ジョイントベンチャーは共同出資による新会社の設立であり、吸収合併やライセンス供与、アウトソーシングとは別である。
- TOBは買付け条件を公表して不特定多数の株主から買い集める手法であり、市場内での通常の株式売買や新株の優先割当とは異なる。
アウトソーシング・BPO・3PL
業務を外部へ委託する形態であるアウトソーシング、BPO、オフショア、3PLの定義と違いを扱う。
要点
- アウトソーシングは、自社の業務の一部を契約に基づいて外部の専門業者に委託し、コスト削減や本業への経営資源集中を図る取組みである。
- BPOは、経理・給与計算・コールセンター業務など特定の業務プロセス全体を切り出し、専門性を持つ外部業者に継続的に委託する形態である。
- オフショアアウトソーシングは、開発や運用などの業務を人件費の安い海外の企業や拠点に委託することである。
- 3PL(サードパーティロジスティクス)は、荷主でも単なる運送会社でもない第三者が、荷主企業の物流業務全体を企画・運営して効率化する形態である。
- OEMは、発注元企業のブランド名で販売される製品を、他の企業が受託して製造・供給すること。
- ファブレスは、自社では生産設備を持たず、企画・設計・開発に特化して、製造を他の企業に委託する企業の形態。
まちがえやすい点
- オフショアは海外へ委託する形態であり、国内の遠隔地に委託するニアショアや自社内で行う内製とは別である。
- BPOは特定の業務プロセス全体の継続的な委託であり、要件定義工程だけの外部委託や内製化の徹底とは異なる。
- 3PLは物流業務全体を第三者が企画・運営する形態であり、自社倉庫の連携や物流機器の共同開発とは異なる概念である。
垂直統合・水平統合・SPA・フランチャイズ
バリューチェーン上の統合の方向、企画から小売までを自社で行う業態、本部と加盟店の関係を扱う。
要点
- 垂直統合は、バリューチェーンの上流である原材料調達等や、下流である販売等を自社に取り込むことである。
- 水平統合は、同一の事業段階にある同業他社を統合して規模を拡大することである。
- SPA(製造小売業)は、商品の企画・製造から小売までを一貫して自社で手掛ける業態であり、企画から販売までを垂直統合して需要をすばやく生産へ反映できる。
- フランチャイズチェーンは、本部が商標使用権や経営ノウハウの提供・指導を行い、加盟店がその対価としてロイヤルティを本部に支払う事業形態である。
まちがえやすい点
- 垂直統合は上流や下流を自社に取り込む方向であり、水平統合は同一事業段階の同業他社を統合する方向であるため、両者は統合の方向性が異なる。
- SPAは企画から販売まで自社で行う業態であり、他社が製造した商品を仕入れて販売するだけの卸・小売とは異なる。
- フランチャイズの加盟店はロイヤルティを支払う独立した事業者であり、対価が発生しない仕組みや直営店だけの運営ではない。
マーケティング
マーケティングミックスの4Pと4C
売り手の視点で組み立てる4Pと、顧客の視点で捉え直す4Cの構成要素と、両者の対応関係を扱う。
要点
- マーケティングミックスの4Pは、製品・価格・流通・販売促進の4要素を組み合わせてマーケティング施策を検討するフレームワークである。
- 4Pのうち、商品を顧客に届ける経路がPlace、広告や販売員によって商品を知らせる活動がPromotionである。
- 4Pは売り手側の視点であり、買い手側の視点で対応づけたものが4Cで、顧客価値・顧客コスト・利便性・コミュニケーションからなる。
- 4Cは、顧客価値・顧客の負担・入手の容易性・コミュニケーションの4要素からなり、企業視点の4Pを顧客視点から捉え直した枠組みである。
- 4P・4Cは、売り手側の製品・価格・流通・販促と、買い手側の価値・費用・利便性・対話を対応させる枠組み。
まちがえやすい点
- Peopleを含む説明はサービスマーケティングの拡張概念の一部と混同したものであり、4Pそのものとは異なる。
- PDCAはマネジメントサイクル、PESTはマクロ環境分析であり、いずれもマーケティングミックスの4Pそのものとは異なる。
- 4Pの説明をそのまま4Cとすることは誤りであり、4Cは企業視点の4Pとは異なり顧客視点の枠組みである。
STP・ペルソナ・顧客体験
市場の細分化から立ち位置の決定までの手順、典型的な顧客像、顧客体験の考え方、製品開発の起点の違いを扱う。
要点
- STPは、市場細分化・標的市場の選定・自社製品の位置づけの明確化の頭文字をとった、マーケティング戦略の検討手順である。
- ペルソナは、代表的な顧客を一人の人物として具体化した架空の人物像であり、開発や施策の判断軸を関係者で共有するために用いる。
- カスタマージャーニーは、各接点での顧客の行動・感情を旅路として描き、体験改善の課題を発見するために使う手法である。
- 顧客体験(CX)は、認知から購入、利用、アフターサポートに至る一連の接点全体を通じて顧客が得る体験・感情の総体であり、価格や機能の優劣を超えた差別化要因として重視される。
- マーケットインは市場や顧客のニーズを起点に製品を企画・開発する考え方である。
- カスタマージャーニーマップは、顧客が商品を知ってから購入、利用するまでの行動や感情の流れを、時系列で可視化した図。
- セグメントマーケティングは、市場を年齢や地域、嗜好などの基準で区分し、区分ごとに異なる施策を行うマーケティング手法。
まちがえやすい点
- プロダクトアウトとマーケットインは起点が異なる対照的な考え方であり、同じ考え方の別名ではない。
- ペルソナは具体化した架空の人物像であり、実在の個人情報を集めたものとは異なる。
- カスタマージャーニーは顧客の体験や心理を時系列で可視化したものであり、物流経路や応対手順書とは目的が異なる。
製品の普及過程と購買行動モデル
プロダクトライフサイクルの段階、イノベーター理論の採用者分類、AIDMAとAISASの購買行動の順序を扱う。
要点
- プロダクトライフサイクルは、製品が市場に投入されてから姿を消すまでの過程を導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階で捉え、各段階に応じた戦略を検討する考え方である。
- イノベーター理論では、採用の早い順にイノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードと分類し、イノベーターが最初期の採用者である。
- AIDMAは注意・関心・欲求・記憶・行動の頭文字で、消費者が広告に接してから購買に至る心理段階を示す古典的なモデルである。
- AISASは注意・関心・検索・行動・共有の順で、ネットで情報を検索し購入後にSNS等で共有する行動を反映した点がAIDMAとの違いである。
- オピニオンリーダーは、特定の商品や分野に詳しく、周囲の消費者の購買判断に影響を与える人物。
まちがえやすい点
- AISASは、AIDMAの欲求・記憶に代えて検索と共有を組み込んだモデルであり、価格や流通の要素とは異なる。
- イノベーターは最初期の採用者であり、その後に続くアーリーアダプターや、後期に採用するレイトマジョリティ、ラガードではない。
- プロダクトライフサイクルは製品の盛衰の段階を示す考え方であり、原価計算手法やキャリア形成モデル、システム開発モデルとは別である。
ブランド戦略とプライベートブランド
ブランドが持つ無形の資産価値であるブランドエクイティと、小売業者が企画するプライベートブランドの特徴を扱う。
要点
- ブランド戦略は、自社の製品・サービスに対する顧客の認知・信頼・愛着といった無形の資産価値を高め、競争優位につなげるための戦略である。
- ブランドエクイティは、認知度・イメージ連想・知覚品質・顧客ロイヤルティ等からなる無形の資産価値の総称であり、価格プレミアムや顧客の指名買いにつながる。
- プライベートブランドは、小売業者等が企画して独自のブランドとして製造・販売する商品であり、広告宣伝費等を抑えられるためナショナルブランドより低価格で販売されることが多い。
まちがえやすい点
- ナショナルブランドはメーカーの全国ブランドであり、小売業者等が企画するプライベートブランドではない。
- ブランドエクイティは無形の資産価値の総称であり、特許評価額の合計や時価総額そのもの、パッケージデザイン費用とは別である。
- ブランド戦略は顧客の認知・信頼・愛着を高める無形資産の戦略であり、調達戦略や福利厚生制度、設備投資計画とは異なる経営活動である。
顧客満足・LTV・顧客の囲い込み
顧客満足度、顧客生涯価値、ロイヤルティプログラム、RFM分析、スイッチングコストといった顧客関係の指標や施策を扱う。
要点
- 顧客満足度は、購入・利用体験が事前の期待をどれだけ満たしたかを示す指標であり、満足度が高いほどリピート購入や好意的な口コミにつながりやすい。
- LTV(顧客生涯価値)は、顧客との取引期間全体を通じて得られる利益の総額を示す指標であり、既存顧客との関係維持・深化を重視するCRM等の考え方と関連が深い。
- ロイヤルティプログラムは、ポイントカードや会員ランク制度等を通じて顧客の継続的な利用・購買を促進し、ブランドへの愛着や再購入意向を高めることを目的とした施策である。
- RFM分析は、最終購入日・購入頻度・購入金額の3指標で顧客を層別し、優良顧客の抽出やCRMに用いる手法である。
- スイッチングコストは、利用者が現在の製品やサービスから他社へ乗り換える際に発生する金銭的・心理的な負担であり、高いほど顧客は囲い込まれ乗り換えにくくなる。
まちがえやすい点
- 顧客満足度は期待への充足度を表す指標であり、売上高で決まるものや新規顧客獲得数を表すものとは異なる。
- LTVは取引期間全体の利益の総額であり、一回の平均購入金額や広告費総額とは別である。
- RFM分析は顧客を層別して優良顧客を識別する手法であり、重点管理のABC分析や環境分析のSWOT・PEST分析とは異なる。
- スイッチングコストは顧客の乗り換えの負担を指し、生産の段取り替え費用や為替手数料ではない。
販売促進の手法と価格設定
プル戦略、ワントゥワンマーケティング、クロスセリング、カニバリゼーション、ダイナミックプライシングの内容を扱う。
要点
- プル戦略は、広告などで消費者に直接働きかけて指名買いを促し、消費者が流通業者に商品を要求するよう仕向けて、流通が仕入れざるを得ない状態をつくる戦略である。
- ワントゥワンマーケティングは、顧客一人ひとりのニーズや購買履歴に合わせて個別に最適化した対応を行う手法であり、LTV向上を狙ってCRMやMAと結びつく。
- カニバリゼーションは、自社の新製品が自社の既存製品と市場を奪い合う共食い現象である。
- クロスセリングは、関連商品を併せて勧めて客単価を上げる販売手法である。
- ダイナミックプライシングは、需要・供給や在庫状況、時間帯等の変動要因に応じて価格をリアルタイムに調整する手法であり、収益最大化や需要の平準化を目的とする。
- スキミングプライシングは、新商品の発売初期に高い価格を設定し、早期に開発費を回収して高い利益を得ようとする価格設定の手法。
- ペネトレーションプライシングは、新商品の発売初期にあえて低い価格を設定し、短期間で多くの顧客を獲得して市場占有率の確保を狙う手法。
まちがえやすい点
- 販売員が流通業者へ売り込み店頭で薦めさせるのはプッシュ戦略であり、消費者の需要を喚起するプル戦略とは異なる。
- クロスセリングは関連商品を併せて勧める手法であり、上位・高額品への切替えを促すアップセリングではない。
- カニバリゼーションは自社製品同士の共食いであり、関連商品を併せて売るクロスセリングや乗り換えの負担を指すスイッチングコストとは異なる概念である。
- ダイナミックプライシングは価格を需要等に応じて変動させる手法であり、価格を一律に固定する方式とは別である。
- ワントゥワンマーケティングは個別対応の手法であり、不特定多数への一斉配信であるマスマーケティングとは異なる対照的な手法である。
販売チャネルとロングテール
オムニチャネル、クリック&モルタル、D2Cといった販売チャネルの形態と、ロングテールの現象を扱う。
要点
- オムニチャネルは、実店舗・ECサイト・SNS等の複数チャネルの在庫・購買履歴などの情報を統合し、顧客がどのチャネルでも一貫したサービス・購買体験を受けられるようにする考え方である。
- クリック&モルタルは、実店舗(モルタル)とインターネット販売(クリック)を組み合わせて展開する事業形態であり、オンラインで注文し実店舗で受け取るなど双方の強みを生かす。
- D2Cは、メーカーが仲介業者を介さず自社チャネルで消費者に直接販売する形態であり、中間マージンの削減に加え、顧客の購買データを直接得られる特徴がある。
- ロングテールは、陳列や在庫の制約が小さいインターネット販売で、単品ごとの販売数が少ないニッチな商品を多数扱うことで、その売上合計が大きな収益源となりうる現象である。
- ダイレクトマーケティングは、仲介を通さず顧客に直接働きかけ、その反応を測定しながら個別に販売を進めるマーケティング手法。
まちがえやすい点
- オムニチャネルは複数チャネルの統合であり、単一チャネルへの集中や単なるフランチャイズ展開、営業時間の統一ではない。
- クリック&モルタルは実店舗とオンラインの組合せであり、オンライン専業を指すものやクリック課金広告とは異なる。
- D2Cはメーカーが消費者に直接販売する形態であり、卸売業者経由の伝統的流通や、BtoB限定の販売とは別である。
Webマーケティングの手法
SEO、リスティング広告、インフルエンサーマーケティングの仕組みと、それぞれの手法の違いを扱う。
要点
- SEOは、検索エンジンの自然検索結果で自社サイトが上位に表示されるよう、サイトの内容や構造を最適化する施策であり、広告費をかけずに自然検索順位を高める。
- リスティング広告は、利用者が検索したキーワードに連動して検索結果ページに表示される検索連動型広告であり、クリック課金が一般的である。
- インフルエンサーマーケティングは、SNSなどで多くのフォロワーに影響力を持つ人物を通じて、商品やサービスの情報を発信・拡散する手法であり、広告表示が求められる。
- クロスメディアマーケティングは、テレビ、Web、店頭など複数の媒体を連動させ、顧客に一貫したメッセージを届ける手法。
- インバウンドマーケティングは、ブログや動画などで有益な情報を発信し、見込み客に自ら見つけてもらい購買へつなげる手法。
- ロケーションベースマーケティングは、利用者のスマートフォンなどの位置情報を活用し、現在地に応じた店舗情報やクーポンを届ける手法。
- オプトインメール広告は、利用者があらかじめ受信に同意した相手にだけ配信する、電子メールによる広告。
- バナー広告は、Webページ上の一定の枠に画像で表示し、クリックすると広告主のサイトへ移動させる広告。
- デジタルサイネージは、駅や店舗、商業施設などに設置したディスプレイに映像や文字を表示し、情報を発信する仕組み。
まちがえやすい点
- リスティング広告はキーワード連動の有料枠であり、自然検索の最適化を狙うSEOとは異なる有料施策である。
- SEOは自然検索順位を高める施策であり、成果報酬型の提携であるアフィリエイト広告や影響力ある人物による発信とは異なる手法である。
ビジネス戦略と目標・評価
KGI・KPI・BSC・OKRによる目標管理
最終目標と中間指標の関係、バランススコアカードの視点、OKRによる目標管理の枠組みを扱う。
要点
- KGI(重要目標達成指標)は最終的に到達すべき目標を定量的に示す指標であり、KPI(重要業績評価指標)はKGI達成に向けたプロセスの進捗状況を測る中間指標である。
- バランススコアカードは、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長という4つの視点から企業の業績や戦略の実行状況を多面的に評価する経営管理手法である。
- バランススコアカードは、財務の視点だけでなく顧客・業務プロセス・学習と成長という非財務の視点も加えて目標と指標を整理し、戦略を具体的な行動に落とし込んで管理する。
- OKRは、達成すべき目標(Objectives)と、その達成度を測る主要な成果指標(Key Results)を組み合わせて設定し、比較的短いサイクルで進捗を確認・見直しする目標管理の枠組みである。
- CSFは、事業や組織が目標を達成するために、特に重点的に取り組む必要がある要因。
- バリューエンジニアリングは、製品やサービスの価値を機能とコストの関係から分析し、必要な機能を保ちながらコストを下げる手法。
まちがえやすい点
- KGIとKPIは最終目標と中間指標という関係であり、両者を逆にした説明や、勘定科目・議決権行使基準とする説明とは異なる。
- BSCの視点は財務に限らず非財務の視点も含み、財務指標を用いる会計手法や株主・経営者の2者視点ではない。
- OKRは目標と成果指標を組み合わせる目標管理の枠組みであり、四半期決算の会計手法や勤怠管理システム、統計的品質管理手法とは別である。
経営管理システム
CRM・SFA・MAの顧客管理システム
顧客情報を一元管理するCRM、営業活動を支援するSFA、マーケティング活動を自動化するMAの役割の違いを扱う。
要点
- CRMは、顧客の属性・購買履歴などの情報を一元管理し、顧客との関係を維持・強化することで顧客満足度やリピート率、収益の向上を図る経営手法である。
- SFAは、営業担当者の活動履歴・商談情報・顧客データ等を一元管理し、営業プロセスの可視化や営業ノウハウの共有、案件管理の効率化を支援するシステムである。
- MAは、見込み顧客の情報収集やメール配信、行動履歴に基づくスコアリング等、マーケティング活動の各プロセスをシステムで自動化・効率化する仕組みである。
- CRMは顧客ごとの情報を蓄えて継続的な関係づくりに使う仕組みであり、SFAは案件の進捗や訪問記録を共有して営業活動そのものを効率化する仕組みである。
まちがえやすい点
- CRMは顧客情報の一元管理による関係強化の手法であり、会計処理の一元管理や設備保守計画、人事評価システムではない。
- MRPは資材所要量計画であり、製造に必要な部材の量と時期を計算する仕組みで、顧客や営業を対象とするCRMやSFAとは別である。
- SFAは営業活動を支援するシステムであり、会計システムや生産設備の自動制御システムとは異なる。
- MAはマーケティング活動を自動化する仕組みであり、産業用ロボットの総称や給与計算の会計システム、株式自動売買システムではない。
SCM・ERP・TOC・SECIモデル
供給連鎖の管理、基幹業務の統合、ボトルネックに着目する考え方、組織の知識創造のモデルを扱う。
要点
- SCMは、原材料の調達から生産・在庫・物流・販売に至る供給連鎖全体の情報を関係企業間で共有・統合し、無駄の削減や納期短縮など全体最適を図る経営手法である。
- VMIは、小売業者等の販売・在庫情報を仕入先と共有し、仕入先側が主体となって発注・補充を管理する方式であり、サプライチェーン全体での在庫最適化を図る。
- ERPは企業資源計画であり、会計・人事・生産などの社内の基幹業務のデータを一元管理して全体最適を図る仕組みである。
- TOC(制約理論)は、全体最適の視点で生産工程のボトルネックを集中的に改善し、スループットを高める考え方である。
- SECIモデルは野中郁次郎らが提唱し、個人の暗黙知を組織の形式知へ、また形式知を暗黙知へと循環させて知を創造するモデルであり、共同化・表出化・連結化・内面化の過程を繰り返す。
- TQMは、品質の向上を、製造部門だけでなく全部門・全従業員が参加して、組織全体で継続的に進める経営手法。
- シックスシグマは、統計的な手法で業務のばらつきを分析し、不良や欠陥を極めて少なくして品質を高める経営改善の手法。
まちがえやすい点
- ERPは社内の基幹業務のデータを一元管理する仕組みであり、調達から販売までの流れ全体を管理して在庫や納期を最適化するSCMとは対象が異なる。
- SECIモデルは知識創造のモデルであり、顧客関係の維持強化を図るCRMや、製品の盛衰段階を示すプロダクトライフサイクル、資源配分のPPMとは別である。
- TOCはボトルネックの集中的な改善で全体の生産性を高める考え方であり、全工程への均等な投資や在庫を最大化する方針とは異なる。
- VMIは販売・在庫情報を共有して仕入先が発注を管理する方式であり、情報を共有しない在庫管理ではない。
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この論点の問題は、アプリで解けます
ITウカールは、ITパスポート試験の対策アプリです。論点テキストはアプリの中でも無料で読めて、各論点の問題を解いて理解を確かめられます。分野別の演習・本番形式の模擬試験・間違えた問題の復習まで、1つのアプリで進められます。
出典と作り方
この読み物は、IPA「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」の中分類の順に、アプリ「ITウカール」の収録問題の解説をもとにアプリ製薬が作成したものです。公式の文章の転載ではありません。問題文・選択肢は載せていません。